蕎麦(そば)

「蕎麦(そば)」とは何か?

蕎麦(そば)は、「蕎麦の実」を挽いた粉を原料として作る、日本の伝統的な麺料理です。

本来、「蕎麦」は穀物のソバの実の名称ですが、それを原料に作った麺料理のことを「蕎麦」と呼ぶことが多いです。

多くの麺類は小麦粉によって作られます。蕎麦は伸縮性と弾力性に乏しく、麺を作るのは簡単ではありません。そのため、蕎麦粉にある程度の小麦粉を混ぜて蕎麦が作られることが多いです。

蕎麦粉だけで作った蕎麦は「十割そば」などと呼ばれ、麺を作るために混ぜた小麦粉が少ないほど高尚なものとされる傾向もあります。

「ざるそば」と「かけそば」

日本には様々な流儀の蕎麦が存在しますが、大きく「ざるそば」と「かけそば」に別れます。

「ざるそば」は、冷たいつゆにつけて食べる蕎麦で、「かけそば」は、熱いつゆをかけて食べる蕎麦です。

「ざるそば」は、つゆを「つけだれ(dipping source)」として使い、「かけそば」は、つゆを「だし汁(soup base)」として使います。(また、冷たいつゆをだし汁として使う「冷やしそば」も人気です。)

どれも日本人にとっては馴染みの深い蕎麦の食べ方です。暑い季節には「ざるそば」や「冷やしそば)、寒い季節には「かけそば」を食べるのが一般的で、日本では蕎麦は一年中食べられています。

「ざるそば」

笊などの器に盛った蕎麦を、冷たいつゆにつけて食べる蕎麦料理の形式です。

一口ぶんの蕎麦を箸でとって、つゆに浸して食べます。つゆが入った器は、自分の口の前まで持っていってかまいません。

薬味として、わさびやネギをお好みでつゆの中に入れます。

ざるそばは、蕎麦の味を純粋に味わいやすい食べ方です。そのため、蕎麦に対して強い拘りを持つ人の中には、冬の寒い時期にすらあえてざるそばを頼む人もいるそうです。

笊(ざる)の上に蕎麦を乗せて提供されていたことから、「ざるそば」という名称が定着しました。「せいろそば」や「もりそば」と呼ばれることもあります。

「かけそば」

蕎麦に熱いつゆをかけて食べる、温かい「うどん」や「ラーメン」と似たような蕎麦の食べ方です。

手早く作ることができ、一般的に、同じお店の「ざるそば」と「かけそば」とでは、「かけそば」のほうが安価なことが多いです。

手軽かつ美味しく、とても人気のある庶民的な料理です。家庭でもよく食べられます。

薬味には、わさびではなく、ネギや唐辛子を使うのが一般的です。

卵、油揚げ、天ぷら、とろろなどを蕎麦と一緒に入れるなど、トッピングの幅が広いです。

「冷やしそば」

かけそばのつゆが冷たいバージョンは、「冷やしそば」と呼ばれることが多いです。

夏に好まれる食べ方で、調味料にはわさびをよく使います。

かけそばと同じように、様々なトッピングがされ、冷やし蕎麦の場合は、大根おろし、おくら、納豆、トマト、豚肉、鶏肉、などが人気です。

蕎麦の美味しい食べ方

蕎麦は、啜って食べることによって、麺やつゆの香りがより引き立ちます。

麺を啜る音を気にする文化圏は多いですが、日本では蕎麦を勢いよく啜るのが粋とされてきました。

「蕎麦」の健康効果

蕎麦は、米や麦など他の穀類よりもたんぱく質が多く、健康的な食品として評価されています。

日本は江戸時代から白米中心の生活をしていたので、その栄養素を補うビタミンBなどを豊富に含む蕎麦は、日本人の健康にとって重要な役割を果たしてきました。

また、蕎麦に含まれているルチンは、毛細血管強化、高血圧予防、抗酸化作用など、健康効果が注目されています。

「蕎麦」の奥深さ

蕎麦料理は幅広く、一般の食卓に並ぶ家庭料理から、料理人が提供する洗練された一品まで、様々な品が存在します。

蕎麦は、麺をつゆにつけて食べるだけのシンプルな食事ですが、とても奥深い料理として知られています。数多くの職人たちが、生涯をかけて蕎麦づくりの腕を磨いてきました。

日本では、「そば打ち」が人気の趣味の一つとされています。特にシニア層に人気があり、年齢を経るほどに、蕎麦づくりに打ち込む職人性への憧れが強まる傾向があるようです。

「そば打ち」は奥が深い一方で、高齢になっても食べやすい健康食品が出来上がるので、長期的な趣味にとても向いています。

蕎麦は、麺を作ること自体が難しいので、長い時間をかけて極める価値のある技術と言えるのです。

「蕎麦粉」と「小麦粉」の割合

蕎麦粉だけで麺を作るのは難しいので、「つなぎ」として、一般的には小麦粉が使われます。鶏卵やイモ類やこんにゃくが使われる場合もあるようです。

基本的に、蕎麦粉の比率が高く、小麦粉の比率が少ないほど、ちゃんとした麺にする難易度が上がります。

十割そば(蕎麦粉が100%)にこだわりを持つ蕎麦屋さんも少なくはなく、蕎麦粉の比率が高いほうが高尚なものとされる傾向もあるようです。

しかし、蕎麦粉の比率が多いほど美味しいわけでは必ずしもなく、ある程度の小麦粉が混ざっている麺のほうが美味しいと感じる人も少なくありません。

蕎麦の歴史

日本ではとても古くから蕎麦が食されてきました。蕎麦は痩せた土地でも育ちやすい穀類で、栄養も豊富なので、重宝されてきた食材でした。

蕎麦が食べられていたという記述のある最古の記録は8世紀のものですが、それ以前から蕎麦は愛食されていたと考えられています。

現在のように蕎麦を麺にする食べ方が主流になったのは、16世紀の江戸時代からです。それ以前は、粒のまま粥にしたり、練り物にしたり、粉を固めて焼いたものが食べられていました。

蕎麦以前に普及していた麺類として、小麦粉を練って作った「うどん」が挙げられます。うどんは江戸時代前期には、すでに全国的に普及していた麺料理ですが、蕎麦がうどんと同じように麺にして食べられるようになってからは、「粋」にこだわる江戸っ子には蕎麦が好まれました。

17世紀以降、蕎麦で作った麺料理は江戸を中心に普及し、日本人にとって欠かせない日常食になっていきました。

「そば」と「うどん」の違い

そばとうどんは、ともに日本の代表的な麺料理です。

出汁(つゆ)の作り方は共通しているので、蕎麦とうどんは親しい料理です。多くの蕎麦屋さんにはメニューうどんがあり、うどん屋さんにはメニューに蕎麦があります。

日本人の素朴なイメージとしては、白くて太い麺が「うどん」であり、やや黒みがかって細い麺が「そば」です。