「天ぷら」とは?
天ぷらとは、魚介や野菜を使って作る、日本の伝統的な揚げ物料理です。
魚介や野菜などの具材を、冷たい衣に浸し、高温の油で短く揚げて作ります。
天ぷらの衣は、鶏卵、小麦粉、冷水を混ぜて作ります。冷水(氷水を使うことも)で衣を作る理由は、小麦粉が溶けて粘り気(グルテン)が出るのを抑えるためです。冷たい衣を使うことで、軽やかな食感のフライが出来上がるのです。
薄く揚げただけのシンプルな料理に見えますが、具材の仕込み、衣の作り方、揚げ方と、上手に作るには繊細が技術が必要になります。
天ぷらの具材は様々ですが、海老、イカ、白身魚、ナス、カボチャ、さつまいも、ししとう、蓮根、大葉、椎茸などが一般的です。
「天ぷら」の魅力
ジューシーでありながらも軽やかな食感の、独特のフライです。
そのまま食べても満足感が得られそうにない野菜でも、天ぷらにすることで美味しく食べることができます。そのため、庶民にも人気が高く、日本全国に普及する料理になりました。
天ぷらを上手に作るのはなかなか難しいので、日本に立ち寄った際は食べておきたい料理です。
「天ぷら」の美味しい食べ方
箸を使って食べます。天ぷらは身が繊細なものが多いので、フォークなどで食べるのは難しいでしょう。
てんつゆ(昆布や鰹節などの出汁、醤油、みりん、砂糖などを混ぜたもの)に浸けて食べるのが一般的です。
塩などをかけて食べることもあります。
薬味として、大根おろしや生姜をてんつゆに入れると風味が変わります。
天ぷらを食べるときのマナー
天ぷらの盛り合わせを食べる順番ですが、好きなものから順番に食べましょう。
一度口をつけたネタは、他のネタに手を出す前に食べきりましょう。齧りかけのネタがいくつも皿に並ばないようにするのが望ましいです。
天ぷらを食べることのできる場所
日本には「天ぷらの専門店」が多数存在しますが、必ずしも天ぷらのお店でないと食べられないわけではありません。
庶民的な日本料理なので、和食屋、居酒屋、料亭、大衆食堂、お弁当などのメニューに並ぶことが多いです。
また、ほとんどの蕎麦屋さんには、天ぷらがメニューにあります。
蕎麦も天ぷらも、江戸(東京)地方の郷土料理であり、多くの蕎麦屋さんは天ぷらを揚げる修行をします。そのため、多くの蕎麦屋では天ぷらも食べることができます。
炭水化物である蕎麦は、脂質とタンパク質である天ぷらと相性が良く、両方とも同じツユで食べれるという特徴があるのです。
蕎麦と海老の天ぷらを一緒に食べる「天ぷら蕎麦」や「天ざる」は、とても人気の高いメニューです。
天ぷらの専門店に行けない場合でも、蕎麦屋に行けば天ぷらを食べることができます。
天ぷらの歴史
「揚げる」調理法は、中国の精進料理などから日本に伝わったとされています。やわらかい衣をつけて揚げる料理法は、16世紀末に、長崎にやってきたポルトガルの宣教師や商人から伝わりました。
魚介に衣をつけて揚げ、「てんつゆ」をつけて食べる現在の天ぷらのスタイルは、江戸時代の江戸(東京)地方で庶民的なものになりました。
それまでは油の値段が高く、揚げ物は庶民には手の届かない料理でしたが、安価な菜種油が普及してからは、天ぷらが人気料理となります。江戸湾では新鮮な魚介がたくさん手に入ったので、それを天ぷらにして食べました。
江戸で大流行した天ぷらは、江戸湾で捕れた魚を揚げて串に刺したものを、ツユと大根おろしで食べました。
天ぷらの調理は火と油を使うので、火事を防ぐため、屋台での営業しか許可されませんでした。当時の江戸には大工仕事などをする若い男手がたくさん集まっていたので、屋台で手軽に食べられる天ぷらは人気のファストフードでした。
一方で、江戸時代末期(19世紀)からは、屋台ではなく、お座敷や料亭で天ぷらが出されるようになり、ファストフードに留まらず、ネタの仕込みや揚げ方に拘る、洗練された技術を誇る職人も誕生しました。
江戸時代で流行った天ぷらの調理法は日本全国に普及していきました。現在、家庭料理から高級料理まで、日本では至るところで天ぷらが調理され、国外でも和食を代表する料理として知られるようになっています。
「天ぷら」の言葉の由来は定かになっておらず、ポルトガル語から、漢字から、日本語からなど、諸説あります。中でも有力とされているのは、ポルトガル語で「調味料」を意味する「テンペロ」から転じたとされる説です。